【crossover】
MASAYUKI KUBOZONO / PEOPLEZ
幼い頃地元のファミリーレストランが誕生日の子供に食事を食べ終えた後、小さなケーキとポラロイドカメラで家族写真を撮ってくれるというサービスをしていた。
誰かに聞いて自分がせがんだのか、両親が計画したのかは全く憶えてないが誕生日にそこに一度だけ行った事がある。
ケーキを手に持ちポラロイドカメラを首からぶら下げこっちのテーブルに歩いてくる店員の顔を恥ずかしくてちゃんと見れず、
咄嗟に逸らした視線の先にあった照明の淡い色、
ガラスに反射する光
カメラから出てきた写真を振って浮かび上がってきた家族の姿が想像以上にぼやけていたのを鮮明に憶えている。
だけど照明の淡い色はしっかりと写真に出ていた。
あの色が好きで、あのポラロイドの質感がレコードの持つ質感と重なるなぁなんて、ふと考えていた。
レコードを選びアナログのミキサーを好んで使った今回の作品は様々な国で産まれた音楽を繋ぎ、旅のような映画のようなイメージをベースに作り上げたのでは決してなくただひたすらあのファミリーレストランの淡い色、
ポラロイドカメラの質感を追いかけて作った作品である。
店を出て写真を手になんとなく俯きがちな自分の頭をポンっと叩き、
ぼやけた家族写真をみて「インスタントカメラはこんなもんだ」と言った父の顔もしっかり憶えている。
text by peoplez
夏の陽を逃れて心地良い音の世界にエスケープさせてくれる、オススメの一枚です。
贅沢なチルにどうぞ。
美しい音楽たちとの出会いが、きっと刺激に~